『月の沙漠の最果ての』柏さんとの話

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Virgin Babylon Recordsより、
柏さんの新譜を送っていただきました。ありがとうございます。
初回は、アートワークに因んで水晶がついて…(?!)。

今朝、お掃除の後、お仕事の前、一番心穏やかな時間に
ゆっくり聞かせていただきました。

しばらく月と沙漠に没頭していたこともあり
もう、遠い昔のような…。
その代わりとても客観的に聞けました。

今回に限らず毎回、自分のRECを聞くと
もっとこうしたいとか、次はこうしようという箇所ばかりが耳につき
あんまり心穏やかに聞けません。
ただ、その時は全てを出しているので
後悔より、次に向けての手がかりと言ったほうが近いでしょうか。

あと、これまでの柏さんの作品と大きく違うのは
楽器が生ということかと思いますが、特にピアノが素晴らしかったです。
こうも曲のニュアンスが変わるとは、、、ピアノ素晴らしいです!
2回言った!!

楽曲そのものが本当に善いので…
まずはYouTubeでもいいので、是非ご一聴を…!

去年は、わざわざ外国にセロを連れて行ってくださり
それは僕としては感謝しかないわけですが

普通に考えると、あえてセロ、というのは
もっと手軽で、見栄えがして、和音も出せる選択肢もたくさんある中で
あらゆる面でリスクとコストでしかないです。

あと、初回限定の水晶特典もそうで
正直、流通や梱包とかを考えるとマイナスでしかなく…
ということもわかる年齢・立場になりました。悲しいかな。

でもその上で、僕は、やっぱりそれをどこまで追求できるかが
アーティストとしての美学で、それを最優先にできないなら
この時代にわざわざ、お金儲けには向いていない(向かなくなった?)
音楽をやっている意味もないと思います。

だから柏さんは、本当に音楽に対して誠実なのだと思います。
是非、その音を聞いてみてください…。

あとクレジットで驚愕の
たむらしげる氏、手使海ユトロ氏に続き、
わざわざ自分を入れていただき本当に恐縮です。

去年からずっと恐縮というか、びりびりびびびびびしっぱなしなので
何か恩返しができるといいのですが…。

そういえば柏さん、今回レコ発をしないとか。
ジャンル的にしないことも多いということですが、
そして近年のライブは海外ばっかりで
それはファンとしても残念です…ので…??

<追記終わり>

***

KASHIWA Daisuke

今回、マスタリングという
CDを作る上で最後の仕上げの部分を、柏さんにお願いすることになりました。

?!

柏さんにマスタリングをお願いできると…。
近年は、新海誠『言の葉の庭』の映画音楽を手がけ、エレクトロニカ界においては
…など評判は、ググってみてね。凄い方なんです…。

マスタリングはその工程上、最後なので、入稿まで
時間的にもかなりタイトではありましたが
快くお受けいただき…本当に感謝しております。

まだお知り合いになって2年、
前作、PianaさんVoのCDでのRECや、
オリンピックCMのお仕事、そしてカザフスタンツアー(通称・魔のパスポート事件)に連れて行っていただき
濃密な時間を過ごしまして、さらに

実は、このマスタリングをしていただく前、時間軸的には、この
『月の沙漠の最果ての -Moonlight Blue Night-』
よりも前のレコーディングになりますが

柏さんの新しいCDにも、セロと弦アレンジで
かなり深く関わらせてもらいました。

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詳細こちらにて…

ピアノソロを除くほとんど全ての楽曲でセロが入っていまして(?!)
これは是非、セロが好きな方にも聴いていただきたいなと思います。
後、バイオリンの強力な助っ人として

磯部舞子

さんにお願いしました。磯部舞子(通称ベチコ)さんは
春宵祭という僕のイベントにも出ていただいたことがあって
ご存知の方は、これは意外な人選、
ある意味もしかしたらこれまでの柏さんの作風とは正反対の演奏者だと思う方もいらっしゃると思います。
バイオリンというかフィドルの人ですので。

ただ、自分の中ではある確信があって
その内なる声に従って今回は、お願いしました。
結果的に、セロ+バイオリン、とても美しい弦楽ができたと思っています。
というより、原曲が素晴らしいので、
僕はその上で自由に遊ばせてもらっただけで
とても楽しい時間でした。

あと、セロ・バイオリンの他にドラム・ピアノ・ベースと
クインテットがメインになっており
それぞれの凄腕プレイヤーとのコラボも刺激的で…
それについてはまた改めてダイアリイを書きたいです。

前も少し書きましたが柏さんの魅力とは
(僕などが語るのもおこがましいですが)
叙情的なメロディラインは言わずもがな、
僕が思うに、本質的には、方法論の新しさだと思います。

作品ごとにテーマが変わり、それに伴って手法も全く新しくなる。
前作の残り香/残滓(あるいは過去の成功体験)が毎回全く無い
その潔さも、まず、セロという楽器に前提としてある僕からすると
本当に美しいと感じます。

押井守曰く
『「新しい絵」「自分が観たい絵」を手に入れようとする限りは、必然的に「新しい方法論」が必要になる』
というような…(そういえば柏さんも、犬飼ってます。)。

まだ見たことがないものに触れるときに
人間って子どもみたいにワクワクすると思うんですけど
それに近い気がします。
冬、朝起きて、真白く積もった雪に飛び込んで行く冒険。

CDを作る作業の中で、
そんな貴重な経験をさせてもらったように思います
(大人になったら、そんな時間なんて中々ないですよね)。

ということが、まず年末〜今年の頭にあり、その後の
『月の沙漠の最果ての -Moonlight Blue Night-』
なので、あまり多くを語らず、お願いしなくとも
美しいマスタリングを仕上げてくださいました。

しかも美しくて繊細なだけではなく
沙漠というテーマに相応しい、音圧や荒々しさも加味されています。
その塩梅が絶妙で…凄いです…

僕も細かい技法については専門ではないので
僕なりに音楽制作をわかりやすい言葉に置き換えますと


楽器弾きは漁師/狩人で、新鮮な素材を大自然からいただき、原材料を調達します。
=レコーディング。


そして下ごしらえや調理をします。
=アレンジやミックス。


器を決め、美しく盛り付け、ソースをかけて味を調えます。
=マスタリング。

という流れです。わかるようなわからないような…?
とにかく、繊細で、しかも仕上げを決める大事な部分ということです。

一時期、すべて自分でやっていた時期もありましたが
根本的に、僕なんかは原材料調達係なので
いつどこにいい魚がいるか、今の時期は何が美味しいか
そこを直感で狩るべく、この数年はそれだけに特化していました。

ですので、餅は餅屋ではないですが
得意な部分以外は、得意な人にお任せして
こうして作品が出来ていくことを、とても嬉しく思っています。

衣装もそうですが、
今まで孤独にやってたせいか、たくさんの人のおかげで
ゴーシュの世界観を作ってもらることに、感無量であります。

というわけで、ゴーシュのCDの前に
柏さんの新作もご予約いただけたら嬉しいです。

Release 2016.04.23
KASHIWA Daisuke
program music Ⅱ

ご予約はこちらにて…!