2

エンドピン考

こちらは
旧ダイアリイ 2013/9 
の記事になります

***

エンドピンを変えました。

エンドピンって、一本足みたいな
尖ってて、地面に刺して、滑らないようにセロを支えるやつ。
支えるだけでなくて、音を地面に伝えるという重要な役目が…。

2

オーディオのインシュレーターと同じ原理ですね。
インシュレータはスピーカーなどの響き(振動)伝導を減らすという
どっちかというと消極的な理由ですが

セロの場合、楽器の響きを地面に伝えて空間ごと揺らすという
かなりポジティブなベクトルで
エンドピンの金属の質や重さで、かなり音が変わります。

学生のころ1回楽器屋さんで試してみましたが
選ぶ基準がしっかり自分の中で固まってなかった
(のと、やはりお金がかかる)ので
ここに足を踏み入れるのはまだ早い…と思って断念しており

いつかはちゃんと選びたいな~と思っていたのでした。
青誕祭も終わったし、時間のあるうちにゆっくりと念願のチューニング…!

お世話になったのは

見附精機工業株式会社さま

金属の組み合わせでたくさんのエンドピンがあり
チェロ界では有名な会社であります。
使用者紹介を見ていたら、僕の先生の先生っぽい写真が…。

僕は6種類(!)お借りして、自分の楽器で試してみました。

1

セロはその演奏法上、
奏者が音の出る方向の裏にいて、また、楽器自体を体で包んでいるため
奏者はもしかしたら、客席側とは全然違った音を聞いていると思います。
体全体でセロの響きを掴んでいるので…。

どなたも経験あると思いますが、自分の声を録音して聞くと気持ち悪~、
みたいなギャップがあるのと近いと思います。
かなり違う。

なのでBottleを立てて、ちゃんとレコーディングして
客観的にもどの音が好きか、聞いて選んでみました。

あと、あくまでも自分の楽器との相性と
僕の耳のレビューなので
全ての楽器に対しての傾向を示すものではありません。
また、ご承知の通り、僕はソロユニットやサポートなど
クラシック以外の演奏が多いので
自分の演奏スタイルに合ってるかどうかも大きな基準です。

あと、例の演奏台に乗って弾くことも多く
より、そのエンドピンのキャラクターが増幅されて聞こえていると思います
(降りての弾き比べもしましたが)。

今後検索で来る方も多いと思い、
できるだけ客観的には書いてるつもりですが、ご参考までに…。

□スチールの空洞(自分の)
元々買ったときについてたもので、17年くらいずっとこれを使ってました。
下記は全て、これと比べての感想です。
良くも悪くも、僕の基準音。

□カーボン 
スカスカした乾いた音に。
スカスカ感じるのは、倍音がかなり減ったせい?
こころなしか音量も小さく感じる。

□タングステン
倍音はちょっと減り、低音だけ強調される感じ。
なので高音は相対的に減ったように聞こえる。
=のっぺりして重たい響きに?
ハイドンとか弾くのに、好きな人が多そう。なイメージ。

□スチール+真鍮
スチール空洞を、音量だけかなり上げた感じ。
倍音は増えるけど、なぜかちょっと音がくすむ?けど音は飛ぶ。
あと音の反応が早い、出が早い。振動が早く伝わる感じ。

□チタン+真鍮
とてもブライト!A線の開放より上はキンキンするほど。
個人的に好き。
ピラッツェ・ソロだとキンキンしすぎるので、弦を替えても良いくらい。
音量も大きいし、かなり飛ぶ、壁に当たって帰ってくる音が一番大きい。

□トリプル(チタン+真鍮+タングステン)
チタン+真鍮が、ちょっと落ち着いた感じ。
でも倍音はこっちの方がかなり出てて、キラキラする。
残響も綺麗で、薄くリバーブをかけたくらい変わるので、弾いてて気持ちよい。

□カルテット(トリプル+カーボン)
トリプルが落ち着いた感じ。くすんだ感じ?
自分のスタイルには、ちょっと穏やかすぎるかも…。

ここまで傾向を掴むのにたっぷり3時間。
レコーディングした音も聞いて

□チタン+真鍮
□トリプル

に絞り込みました。
しかし…このどっちにするか決め手がなく
珍しく迷ってしまいました。

しかし、次の日のあるリハで
色んな器楽奏者が6人(!)集まったので
そこで聞いてもらって決めることにしました。
最後の決め手は自分が聞いてる音より
聞いた人の感想なのかな~と。

最終的に、トリプルブリランテという
タングステン+チタン+真鍮の3素材を使ったものに決めました。

ライブのときはライブ用のものと使い分けるとかも良さそうと思いましたが
自分はあまり器用な方ではないので
使いこなせず、宝の持ち腐れになってしまう可能性が高く
とりあえずはトリプルを極めたいと思います。
その後また考えます。

弾き方とか弓の返しも結構変わるので、早く慣れたい。

という、エンドピンという大きな変化と
あとは、エンドピンを締め付けるホルダーも
見附さまのものに変更しました。

3
□インナーコレットホルダー(チェロ用)

普通セロについてるのネジの一点止めと違って
ピン全体を掴んで止める画期的なホルダーでした。
振動が多くピンに伝わるので
音量アップと、ピンのキャラクターの増幅具合が実感できます。

見附さまは、オーナー自身がチェロを弾かれる方で
こういった金属加工の技術で、新しいアイテムが生み出されるのは凄いです…。
僕らは恩恵にあずかれて、感謝…。

おまけ。

4
こちらは、ラピスラズリの石をいれたアジャスター。
銀座ヤマハにて取り寄せお願いしました。
これは音が変わるというより、装飾品ですね。

***

ここまでが、2013に書いた内容です。

その後、遠い沙漠を旅し、ラピスラズリの語源?から
ラズワルドという曲ができたり、
新しい天使のセロで、エンドピン選びをすることになるとは
あの時は全く思ってもいませんでした…。

これからも、楽器関係のものなど、また古い日記を発掘して
掲載することがあるかもしれません。